サビのメロディーとコード進行ができたら、まずサビだけをラフにアレンジします。
この段階で一曲分のアレンジを考える必要はありません。ドラム、ベース、ギター、シンセをラフに加え、頭の中で鳴っているサビを形にします。
目的は、細部を完成させることではありません。必要な音を重ね、完成したときのサビがどこまで強くなるのか、その最大パワーを早い段階で予想するためです。
ラフなサビを実際に聴き、「いいぞ!」「この曲の完成形を形にしたい!」と思えるかを確かめます。
テンポとリズムはメロディーを作る段階で考えている
私の場合、メロディーとコード進行を作ってから、あとでテンポやリズムを考えるわけではありません。
サビのメロディーを作っている段階で、テンポとリズムも同時に考えています。さらに、ドラムの具体的なパターンまで頭の中で鳴っています。
そのため、ドラムの打ち込みはリズムをゼロから考える作業ではなく、サビを作ったときに頭の中で鳴っていた音をDAW上へ再現する作業に近いです。
メロディー、コード進行、テンポ、リズムを別々に組み立てるのではなく、最初から一つのサビとして捉えています。
最初にドラムを打ち込む
ラフアレンジでは、最初にドラムを打ち込みます。
ドラムの方向性は、作りたいジャンルとメロディーの動きから決めます。
メタルならツーバスを「ドコドコ」と鳴らす。メロディーに勢いをつけたい場所では、キックやスネアをメロディーのアクセントに合わせます。
シンコペーションを入れるかどうかも、メロディー次第です。先に決めたドラムパターンへメロディーを無理に合わせるのではなく、メロディーが持っているリズムをドラムで押し出します。
ここで必要なのは、細かいフィルや音色を完璧に仕上げることではありません。サビのノリと勢いが見えるところまで打ち込みます。
ベースはルート音を追ってコード感と迫力を足す
ドラムの次はベースです。
まずはコード進行のルート音を追って刻みます。細かいベースフレーズを作り込むよりも、サビへコード感と低音の迫力を加えることを優先します。
音程はコードのルート音、リズムは基本的にドラムへ合わせます。
これでドラムとベースがリズム隊としてまとまり、メロディーとコードだけだったサビに、曲を前へ進める力が生まれます。
ギターとシンセの上物をラフに入れる
次にギターを入れます。
まずはコード弾きでサビ全体に厚みを加えます。
さらに、必要なギターの上物やシンセもラフに入れます。細部まで完成させるわけではありませんが、コード弾きだけで判断するのではなく、完成形に近いパワーが出るところまで音を重ねます。
ラフでも必要な上物まで入れておくことで、このサビが完成したときにどこまで強くなるのかを想像しやすくなります。
ここで確認したいのは、細かな音色やフレーズの完成度ではありません。サビのパワーを上げた状態で聴いて、「いいぞ!」と思えるかどうかです。
完成形の最大パワーを予想する
ドラム、ベース、ギター、シンセを加えたら、ラフなサビを聴きます。
歌と演奏が一つの形になり、この段階でサビはかなり曲らしくなってきます。まだラフな状態ですが、完成したときにどこまでパワーが出るのかも見え始めます。
ここでの判断基準は、技術的に正しいか、プロの曲と比べて完成度が高いかではありません。
この曲の完成形を形にしたい!
そう思えるかどうかです。
完成した姿を見たいと思えたら、AメロとBメロを加え、ワンコーラスの制作へ進みます。
サビのラフアレンジは、制作工程であると同時に、完成形の最大パワーを予想し、この曲を最後まで育てるか判断する試作品でもあります。
もっと良くできるならメロディーを修正する
一度聴いて良くないと感じても、すぐにボツにするわけではありません。
「もっとイケる」と思えるなら、メロディーを修正します。
もう少し勢いを出せる。音の流れを変えれば印象に残る。サビの山を作り直せる。そんな改善後のイメージがあるなら、もう一度試します。
修正したメロディーへ、再びドラム、ベース、ギター、シンセを合わせ、完成形を作りたいと思えるところまで来たかを確認します。
完成のイメージが湧かなければ、いったん寝かせる
反対に、どう直せば良くなるのか分からず、完成形のイメージも湧かない場合は、いったん寝かせます。
ただし私の場合、ここで寝かせた曲は、約90%がそのままボツになります。
時間を置けば必ず良いアイデアが浮かぶわけではありません。自分の中に「この曲を完成させたい」という熱や、良くするための具体的なイメージがなければ、その後も手が伸びないことが多いです。
無理に一曲へ仕上げようとするよりも、サビの段階で自分の気持ちが動く曲を選ぶ。そのためにも、早い段階でラフアレンジまで作ることが役立ちます。
移動中にも聴いて、本当に良いと思えるか確かめる
制作中に「お、いいじゃん!」と思っても、その場ですぐに最終判断はしません。
移動中など、制作机から離れた状況でも聴いてみます。
作っている最中は、完成した勢いや達成感によって良く聞こえることがあります。しかし、時間と場所を変えて聴くと、「やっぱり、そんなでもないかも」と感じることもあります。
違うシチュエーションで聴いても、もう一度「お、いいじゃん!」と思えるか。
そこで気持ちが変わらなければ、完成まで進めたいサビとして、次の工程へ移ります。
まとめ
私は、サビのメロディーとコード進行を作る段階で、テンポ、リズム、ドラムパターンまで考えています。
そのイメージをもとにドラムを打ち込み、コードのルート音を追うベース、ギターのコード弾きと上物、シンセを順番に加えます。
細部を作り込む前に、完成形に近いパワーまでラフに引き上げ、サビが持つ最大パワーを予想するためです。
完成形を形にしたいと思えたら、ワンコーラスへ進む。もっと良くできるイメージがあれば、メロディーを修正する。完成のイメージが湧かなければ、いったん寝かせる。
最後に、移動中など別のシチュエーションでも聴き、「お、いいじゃん!」という感覚が残っているかを確かめます。
一曲分を作り込む前に、まずはサビだけをラフに鳴らす。この工程が、完成まで進めたい曲を早めに見つける判断材料になります。